接続できない、端末を紛失した、不審な通信やログイン通知が出た場合は、自分で設定を変え続けず、社内の一次報告窓口へ連絡します。

最初に会社のポリシーを確認する

社内システムへの接続可否は、滞在国や会社の規程によって変わります。

出張者が自分で安全だと判断したVPNを追加するだけでは、会社が求めるアクセス制御や監査の条件を満たすとは限らないため、承認済みの経路とはいえません。

出発前に、渡航する国と都市、滞在日、持ち出す端末の資産番号、使いたいシステム名を、普段利用している社内ヘルプデスクへ伝えます。

そのうえで、次の項目を情報システム部門へ確認します。

  • 海外から接続してよいシステムと、接続を禁止されているシステム
  • 使用する会社支給端末と、利用できるアカウント
  • 会社VPN、VDI、RDPなどの承認済み経路
  • 多要素認証の方式と、海外で認証できない場合の代替手段
  • 接続障害、端末紛失、不審な通知を報告する窓口
  • 滞在国での通信、持ち出し、データ保存に関する追加条件

回答は社内の申請番号や承認メールと一緒に残し、緊急窓口の電話番号、対応時間と基準の時刻帯、担当不在時の連絡先を控えます。

会社の回答が得られないまま、個人向けVPNや私物端末で代用して接続するわけにはいきません。

組織の規程に従い、不明点は管理者へ相談するという基本は、IPAのテレワークの注意事項でも案内されています。

出発前に承認事項を確認する

会社支給端末を使う

社内システムへ接続する端末は、会社が指定した端末を使います。

会社支給端末には、組織の管理下でOS更新、画面ロック、ディスク暗号化、セキュリティ監視などが設定されている場合があります。

実際の設定内容は会社ごとに異なるため、端末に管理機能があるという理由だけで、すべての保護が有効だと判断しないでください。

私物端末の利用が認められている会社でも、対象のアプリ、保存場所、認証方式が限定されていることがあります。

会社指定の管理アプリに「非準拠」「要対応」などと表示されたら、その表示を社内窓口へ伝えます。接続のために管理プロファイル、ウイルス対策、ファイアウォールを無効にしないでください。

接続と保存の範囲を決める

社内システムに接続できることと、社内データを端末へ保存できることは別の許可です。

ファイルのダウンロード、印刷、コピー、外部サービスへの共有が認められているかを、出発前に確認します。

VDIやRDPで社内環境を操作する方式でも、画面の撮影、コピー、入力情報の漏えいまで防げるわけではありません。

承認済みの接続経路を使う

企業VPN

企業VPNは、会社が管理する認証、接続先、ログ管理と組み合わせて社内システムへ接続する経路です。

会社から指定されたクライアント、接続先、認証方法だけを使います。

接続画面や証明書に異常がある場合は、別のVPNを探して接続を続けず、社内窓口へ報告します。

VDIやRDP

VDIは仮想デスクトップを利用する仕組みです。RDPはPCなどを遠隔操作するための通信方式で、同じ種類の製品名ではありません。

社内データを手元の端末へ保存しない構成にできる一方、利用可否、接続先、コピーや印刷の制御は会社の設定に依存します。

会社が用意したポータルやクライアントを使い、個人向けの遠隔操作サービスを追加しないでください。

「RDPが使える」というだけでは海外接続の許可になりません。会社が指定したゲートウェイなどの経路を使い、社内PCをインターネットへ直接公開する設定は行いません。

管理端末とMDM

MDMなどの端末管理は、組織が端末の設定や利用状態を確認し、必要な制御を適用するための仕組みです。

登録状況、端末の暗号化、画面ロック、OS更新、紛失時の遠隔ロックや消去の扱いを、情報システム部門に確認します。

管理対象外の端末を、会社支給端末と同じ扱いで社内システムへ接続するわけにはいきません。

現地の通信手段を選ぶ

海外の通信手段は、通信の安定性、費用、会社の規程、持ち出すデータの量を合わせて選びます。

  • ローミング:契約中の通信事業者の海外通信を使う方法です。
  • SIMカードやeSIM:契約したプランでモバイル通信を使います。対応国や接続条件は契約ごとに確認します。
  • テザリング:スマートフォンのモバイルデータ通信を端末へ共有する方法です。
  • ホテルやカフェのWi-Fi:施設のネットワークを使う方法です。

社内システムへ接続する場合は、会社が指定する接続経路(企業VPN、VDI、RDPなど)と、会社が許可した通信手段を使います。

企業VPNを経由する構成も、VDIやRDPを利用する構成もあるため、企業VPNがすべての接続で必須だと決めつけず、経路ごとの指定を確認します。

テザリングやeSIMの詳細な選び方は、海外旅行前にスマホを安全に整えるチェックリストとeSIMとVPNの違いを通信経路から整理するで確認できます。

会社の規程で許可されている場合でも、モバイル回線が社内VPNへの接続を保証するわけではありません。

出発前に接続をテストする

接続テストは、現地で初めて使う端末や認証方式を残さないために行います。

接続画面の名前は会社ごとに異なります。以下を会社の手順書と照らし合わせ、指定されたテスト環境で確認します。

  1. 持参する端末で状態を確認する。会社指定の管理アプリなどで、更新や端末登録に未対応の表示がないか確認します。表示の意味が分からなければ管理者へ聞きます。
  2. 承認済みの入口を開く。会社配布のアプリか、事前に確認した社内ポータルのブックマークを使います。検索広告や届いたばかりのメールのリンクから入り直しません。
  3. 自分が始めた認証を完了する。出張に持っていく認証アプリやセキュリティキーを使います。操作していないのに届く承認要求は承認せず、社内窓口へ報告します。
  4. 指定の確認用ページを開く。VPNの「接続済み」表示だけで終えず、会社が許可したシステム内の確認用ページまで開きます。許可範囲外のシステムを試す必要はありません。
  5. 保存先と終了方法を確認する。コピーやダウンロードのテストが会社から指示された場合だけ、機密情報を含まないテストデータを使います。終了時は手順書どおりにサインアウトや切断を行います。
  6. 結果を控える。テスト日時、端末、使った回線、開けたシステム名、未解決のエラーを社内指定の場所へ記録します。認証できないときの代替手順と連絡先も確認します。

認証アプリ、セキュリティキー、予備の認証手段が必要な場合は、会社の指示に従って準備します。

認証コードをメモや写真で持ち歩く方法は、会社が定めた保管方法に反する可能性があるため、独自に決めません。

準備の完了条件:必要なシステムでテストが終わり、未解決項目を社内担当者と確認し、端末が使えなくても連絡できる窓口を持っていることです。

日本での接続成功は、現地の回線や国別のアクセス制限まで確認した証拠にはなりません。出張先で使えない場合の代替業務も先に決めます。

公共Wi-Fiを使う場合の条件

ホテルやカフェのWi-Fiを使えるかどうかは、通信の暗号化だけでなく、会社の規程で判断します。

会社が公共Wi-Fiを認めている場合は、受付などでSSID(ネットワーク名)と接続方法を確認します。Wi-Fi利用規約の画面が必要なら、会社が許可した手順でネット接続を済ませてから、指定のVPNや社内ポータルを開きます。

施設のWi-Fi受付画面に会社のパスワードや多要素認証コードを入力しません。証明書の警告を無視する操作、見知らぬ証明書や管理プロファイルの追加を求められたら中止します。会社VPNが常時接続で受付画面を開けない場合も、保護を解除せず社内へ相談します。

会社VPNへ接続できない状態で、個人向けVPNを使って社内システムへ接続することは、承認済み経路の代替になりません。

SSIDや証明書に不審な点がある場合、想定外の認証画面が出た場合、接続が繰り返し切れる場合は、社内システムへの接続を止めます。

通信経路を保護しても、周囲からの画面ののぞき見や会話の聞き取りは防げません。席を離れる前に画面をロックし、機密内容を公共の場で話さないようにします。

公共Wi-Fiを避けられない場合の一般的な判断と手順は、公衆Wi-Fiを使わざるを得ない場合の安全な使い方で確認できます。

異常時に社内へ一次報告する

海外出張中の異常は、原因を確定してからではなく、社内が初動を判断できる段階で報告します。

接続できない場合

会社VPN、VDI、社内ポータルへ接続できない場合は、発生時刻と時刻帯、滞在国、通信手段、表示されたエラー、直前に行った操作を記録します。

一般のWebページも開けないのか、会社の入口だけ開けないのかを、会社の手順で許された範囲で確認します。原因が分からないまま認証を繰り返したり、国別制限を個人向けVPNで回避したりしません。

設定ファイルや認証方式を自己判断で変更せず、社内ヘルプデスクへ報告します。

端末を紛失した場合

端末を紛失または盗難に遭った場合は、社内の紛失報告窓口へ連絡し、端末の資産番号、最後に確認した場所、時刻、端末の状態を伝えます。

別の端末から会社アカウントへログインし直す前に、社内窓口の指示を確認します。

個人端末の一般的な紛失対応は、スマホ紛失の初期対応で扱っています。

不審な通信やログイン通知が出た場合

身に覚えのないログイン通知、見慣れないVPN接続、社内メールの転送設定変更、不審なポップアップが出た場合は、社内手順で許された方法で表示内容と発生時刻を記録します。通知内のリンクや電話番号から問い合わせません。

偽の画面にパスワードやコードを入力した、承認要求を押した、ソフトを実行した場合は、その操作もすぐ伝えます。報告にパスワードやコードそのものを添えず、連絡には可能なら別の信頼できる端末を使います。

端末の通信を切断するかどうかは、社内のインシデント手順に従います。

指示が得られない場合は業務操作を止め、上司など事前に決めた別の連絡先へ報告します。被害拡大時の隔離は会社の緊急手順に従い、自己判断で再起動、初期化、ログ削除、復旧ツールの実行をしません。

ランサムウェアが疑われる場合の隔離、証拠保存、復旧は、ランサムウェアに遭ったらどうするかで扱います。

一般のアカウント不正利用が疑われる場合は、不正ログインされた場合の初期対応も確認します。

よくある質問

会社VPNと個人向けVPNを同時に使ってもよいですか?

会社の規程と技術設定によります。

同時利用で接続先の判定やログ管理が変わる場合があるため、出発前に情報システム部門へ確認します。承認がなければ追加せず、つながらない理由を調べるためにも勝手に二重接続しません。

会社の連絡先が分からない場合はどうすればよいですか?

出発前に受け取った出張規程、端末貸出票、社内ポータルの緊急連絡先を確認します。

見つからない場合は、上司や出張管理担当者を経由して情報システム部門へ連絡し、報告した日時と相手を記録します。

参考資料

2026年10月5日に以下の公式資料を確認しました。社内手順の具体化は一般的な確認例で、勤務先の規程や現地での利用許可を代わりに決めるものではありません。

アイキャッチはAI生成のイメージです。

執筆と確認

デジタル社会の歩き方 編集部

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