原因や補償の有無を先に決めつけず、ログイン、取引、出金先、認証設定を分けて記録してください。

不審な取引を見つけた直後の初動

身に覚えのない注文や売買がある場合

証券会社の公式窓口へすぐに連絡し、不正アクセスや不正取引の疑いがあることを伝えてください。

開いている画面は保存できる範囲で記録しますが、証拠を揃えるために連絡や停止の手続きを遅らせないでください。

注文の取消や、不正に買われた銘柄の扱いは、証券会社に確認します。損失を取り戻そうとして自己判断で売買を重ねないでください。

偽サイトにID、パスワード、認証コードを入力した疑いがあれば、まだ不審な取引が見つからなくても連絡します。

ログインできない場合

ログインの復旧を待たず、公式窓口へ口座保護を依頼します。電話やログイン不要の受付があるか、公式サイトや取引書類で確認してください。

不審なアプリを入れた端末や遠隔操作された端末は、復旧やパスワード変更に使わず、別の信頼できる端末から相談します。

SMSやメールに届いた復旧リンクは使わず、証券会社の公式アプリや公式サイトを自分で開いて、復旧手順を確認してください。

出金や銀行口座が関係する場合

自分の銀行口座から身に覚えのない出金や証券口座への入金があれば、その銀行にも連絡して口座保護を相談します。

出金先が知らない口座に変わっている場合は、まず証券会社にその変更と出金の状態を伝え、必要な連絡先を確認してください。

連絡先、申告期限、必要な資料、補償の条件は金融機関ごとに異なります。

起こりうる被害

証券口座で確認する被害は、口座からの出金だけではありません。

  • 保有銘柄の売却や、知らない銘柄の買付
  • 注文の変更や取消
  • 出金先の変更や証券口座からの出金
  • 連携する銀行口座から証券口座への入金

外部への出金がなくても、不正な売買によって被害が生じることがあります。

一つの不審な取引だけを見て、原因や被害範囲を断定しないでください。

不正ログイン、フィッシング、パスワードの使い回し、端末の盗難など、複数の経路を確認する必要があるためです。

取引履歴、ログイン状況、出金先を確認する

公式画面へ入れる場合は、次の項目を同じ期間で確認します。

  • 注文履歴、約定履歴、入出金履歴
  • ログイン履歴、利用端末(表示される場合)
  • 出金先口座と入出金の設定
  • 登録メールアドレス、電話番号、多要素認証、取引通知の設定

不審な行を見つけたら、日時、銘柄、数量、金額、注文状態、表示された端末情報を記録します。

取引履歴に表示される時刻と、メールやSMSの受信時刻が異なる場合もあるため、元の通知を削除せずに保管してください。

ログインできない場合は、復旧操作を繰り返す前に公式窓口へ相談します。

証券会社、銀行へ連絡する

最初の連絡先は、口座を開設している証券会社です。

公式窓口では、ログイン、取引、出金をどこまで止められるか、残っている注文をどう扱うか、復旧の手順を確認します。

「停止を申し込んだ」だけで終えず、停止された範囲と反映時刻、受付番号、次の連絡方法を控えてください。約定済みの売買が取り消されたかどうかは、利用停止とは別に確認します。

夜間や休日も、各社の公式サイトで緊急窓口や一時停止の受付を探します。問い合わせフォームの送信完了だけで、停止が反映されたとは判断しません。

連携する自分の銀行口座でも不審な動きがあれば、銀行にも並行して連絡してください。

不正アクセスや不正取引の被害は、証券会社からの案内を待たず、警察にも相談できます。保存した記録を使って経緯を説明します。

金融庁は、証券会社が提供するログイン時、取引時、出金時、出金先変更時の多要素認証や通知サービスを確認するよう案内しています。

口座を保護する

公式窓口への連絡と並行して、信頼できる端末で正しい公式画面を開ける場合は、パスワードなどを変更します。利用停止中に設定できない項目は、自己判断で停止を解除せず窓口へ相談してください。

  1. 証券口座のログイン用パスワードと、漏れた疑いのある取引用暗証番号を変更します。
  2. 端末やセッションの解除機能があれば確認し、見覚えのないものを解除します。表示されない場合は窓口に確認します。
  3. 出金先、登録メールアドレス、電話番号に知らない変更がないか確認します。
  4. 提供される多要素認証と取引通知を設定します。
  5. 同じパスワードを使っていた他のサービスも、それぞれ固有のものへ変更します。

証券口座に登録しているメールアカウント自体が不正利用されていると、通知や復旧メールを見られる可能性があります。

メールアカウントの復旧と認証強化は、不正ログインされた場合の初期対応で確認してください。

認証方法と復旧手段

証券会社がパスキーなどのフィッシングに強い認証を提供している場合は、公式の案内に沿って切り替えます。金融庁と日本証券業協会も利用設定を呼びかけています。

登録は公式アプリや正しいブックマークから始め、利用環境と復旧手段も確認します。

  • SMSを使う方式は、電話番号や端末の状態に依存します。
  • 認証アプリは、登録端末を紛失した場合の復旧手段を先に用意します。
  • パスキーやセキュリティキーは、対応サービスと予備の認証手段を確認してから登録します。
  • 取引通知は、不審な注文を早く見つけるための補助機能として使います。

ワンタイムパスワードも、偽サイトに入力するとその場で悪用されることがあります。認証を強化しても、すでに起きた不正取引への対応や、盗まれた端末の保護は別に必要です。

認証の優先順位は、2段階認証を設定するアカウントの優先順位で整理しています。

証券会社ごとの対応方式、登録手順、予備手段、復旧条件は、各社の公式情報で確認してください。

証拠保存と相談先

次の資料を保存します。

  • 注文、約定、入出金、ログインの画面
  • メール、SMS、通知の本文と受信時刻
  • 偽サイトのURL、送信元、アクセス日時
  • 証券会社や銀行へ連絡した日時と受付番号
  • 端末やアカウントの設定変更履歴

記録のために偽サイトを開き直したり、添付ファイルを実行したりする必要はありません。不審なファイルやメッセージを他人へ転送せず、提出が必要な場合は相談先の案内に従います。

技術的な相談はIPA、金融サービスの相談は金融庁や証券会社、被害の相談は警察や消費生活センターの公式窓口を確認します。

停止後に確認しておくこと

  • 停止が反映された範囲と、残っている注文の扱いを確認した
  • 不審な取引の申告が受け付けられ、追加資料の提出先と期限を確認した
  • 登録情報や認証の変更を確認し、復旧と利用再開の条件を聞いた
  • 調査結果の連絡方法と、返答がない場合の問い合わせ先を控えた

これは初動の確認であり、被害回復や調査の完了を意味しません。新しい不審な取引や通知があれば、元の記録を残して同じ窓口へ追加申告します。

よくある質問

取引履歴に心当たりがなければ、すぐ売却してよいですか?

先に証券会社へ連絡してください。

自己判断で売買すると、被害状況の確認や証拠の整理が難しくなる場合があります。

証券口座にログインできるなら乗っ取りではありませんか?

ログインできても、注文や出金先が変更されている可能性があります。

ログイン可否だけで安全とは判断せず、履歴を確認して証券会社へ相談してください。

補償されますか?

補償の有無や条件は、証券会社、銀行、被害状況によって異なります。日本証券業協会は2025年5月2日に、同年1月以降に発生した不正アクセス等の被害に関する10社の一定の補償方針を公表しましたが、個別事情を精査するもので、すべての証券会社や事案で全額補償を約束するものではありません。

公式窓口へ早く連絡し、申告期限と必要資料を確認してください。

参考資料

公式資料の確認日:2026年10月5日。手続きや受付条件は変更されることがあります。

本記事は特定の証券会社について、取引停止、復旧、補償、申告期限の結果を保証するものではありません。

金融庁が公表する被害状況や証券会社の補償条件は更新されることがあります。

被害発生時は、本文の一般的な手順ではなく、契約中の証券会社や銀行の最新の公式案内を優先してください。

執筆と確認

デジタル社会の歩き方 編集部

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